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インタビュー

鈴木大地さんインタビュー(前編)

北京五輪開会式翌日の8月9日より戦いが始まる競泳。前回のアテネ五輪(2004年)で、北島康介選手と柴田亜衣選手が金メダルを獲得したほか、多くの選手がメダルを獲得しました。今回の北京五輪でもいいメンバーを揃え、よりメダルへの期待が高まります。

今回は、ロサンゼルス五輪とソウル五輪での出場経験があり、ソウル五輪では100m背泳ぎで金メダルを獲得された鈴木大地さんに、ご自身の経験談と、今回の五輪でのみどころなど、お伺いしました。前編では、鈴木さんの経験談を語っていただきました。

---ロサンゼルス五輪(1984年)とソウル五輪(1988年)の2大会に出場されていますが、それぞれの印象、思い出を教えてください。

ロサンゼルス五輪のときは、私は高校三年生で、初めて五輪に参加しました。ロサンゼルス(五輪)の前がモスクワ(五輪)で、日本はボイコットしていますから、初めて五輪に参加するという選手ばかりで…。もちろん私もその一人でした。
とにかく五輪の大きさに圧倒されましたね。体調を崩すくらい緊張しました。ただ、その緊張の中、最後のレースで、大ベストを出すことができたんですね。そのときに観客の声援を自分の力にして、泳ぐことを身に付けることができました。リレーで幸いにも、決勝に残ることができたのも大きかったですね。残念ながら、全体としては、失格となってしまいましたが、自分なりに有意義な五輪だったと思います。

このロサンゼルス(五輪)がなければ、ソウル(五輪)での金メダルはなかったと思うんですね。大舞台での緊張とか、興奮とかを決勝の舞台で味わった経験がソウル五輪で生きたのかなと。100メートルの背泳ぎで、私は決勝に残ったのですが、前の五輪で決勝で泳いでいるのって私だけで…。

当然、ソウルでは金メダルをとれたのが一番の思い出ですが、ファイナリストと言って、ソウルの決勝に残ってきた選手たちとの友情も、強く心に残っています。金メダルという最高の結果でよかったというのもありますが、むしろ、世界のライバルたちと、ライバルという域を超えて、友達になれたことのほうが大きかったです。そういう意味で、忘れられない五輪になりました。

---ソウル五輪での金メダルですが、バサロ泳法で、日本を、そして世界を驚かせたと思います。あの秘策は、いつから温めていて、これなら行ける!という手応えをつかまれましたでしょうか。

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中学生くらいですかね。そのときに、五輪に出られるとは思っていませんでしたが、中学生くらいからやっていました。最初は「何だあれは?」と言われてました…。高校生の時に出場したロサンゼルス五輪のときも
「時代遅れだぞ」と外国人のコーチからは言われてました。しかし、速かったので、それを貫き通しました。

私の金メダルによって、次の五輪では、世界のみんながやるようになりました。自分の得意なところを、世界に真似してもらったというか、自分の一番得意なところをスタンダードにしてしまった、というのがありますね。そこはうまくいったなという思いがありますね。

---バサロ泳法で驚かせただけでなく、ほかにもいろんな駆け引きがあったかと思います。ソウル五輪では、どのように駆け引きをしていましたか?

私は、ライバルのアメリカの選手と何度も対戦していたのですが、過去負けたことがないんです。隣り同士で決勝で泳いでいて。いつものパターンからすると勝てるかなと思ったんです。

決勝の直前に彼を観察していたら、かなり顔が青くなっていて、ものすごく緊張していると感じたんですね。私も緊張していましたけど、彼は私よりはるかに緊張した状態で、表情にも見て取れました。それで「これは勝てるかな」と思い、普通に決勝に臨みました。

やはり醸し出す雰囲気で分かりますね。こちらも五感、六感といった、全ての力を使いながら、自分の力を出そう、相手の力を察知しようとしてます。そういうのも鍛錬によって、見えてきたり、感じ取れたりします。その辺の域に達するといろんなことが見えてくるように感じます。

---金メダルを獲った瞬間の気持ちを教えてください。

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すごく不思議な感じがした、というのが率直な感想です。ビジュアライゼーションといって、イメージトレーニングをするんですが、私は接戦で勝つことをずっとイメージしていたんです。そのとおりに起こって、びっくりしました。これ、自分がずっと考えてきたことと同じ!と。もっとぶっちぎりで勝つことをイメージしておけばよかったなと思いましたね。
---接戦というと、横の状況も一層肌で感じられたと思うのですが、最後の最後まで、結果は分かりませんでしたか?

分かりませんでしたし、あまり気にしなかったです。最後は、自分の力を出し切るのが先だなと思いました。あまり相手を意識し過ぎても、よくないなと思って…。自分の力を出し切って、いい形で終わりたいなという思いを優先させました。

---最初に「緊張をされた」というお話がありましたが、同じ日本人選手、先輩方と話をすることで、解消されたということはありますか。

そうですね…。個人競技の水泳ですが、みんなで戦っているんだなぁという意識も強く感じましたし、先輩方からいっぱいアドバイスをもらったなと思います。チームの中に、五輪の経験者がいなかったのですが、リレーで決勝に残れたし、いい経験もさせてもらったと感謝しています。

---前回のアテネ五輪では、日本競泳陣の活躍が連日のように報道されました。その前は、なかなか結果が出ず、惨敗したときもありました。アテネ五輪では、チーム力を問われたという話を聞いたことがあります。やはりチームとして、戦っているという意識は大切ですか?

非常に大切だと思いますね。アトランタ(五輪)もメダルは獲れませんでしたが、本当に強いチームだったと思っています。ちょっとしたボタンの掛け違いがあって、調子が出なかったりして、それがチーム力と言われたら、そうなんだろうなと。

■鈴木大地(すずき だいち)
順天堂大学助教授・同水泳部監督。1984年にロサンゼルスオリンピックに出場。86年のアジア大会100 m 背泳、400 m メドレーリレー、98年のソウルオリンピック100 m 背泳で金メダルを獲得。同年、日本スポーツ大賞など多くの賞を受賞する。現役引退後は、ハーバード大学水泳部のゲストコーチなどを務めた後、帰国。現在、日本オリンピック委員会アスリート委員会委員、アジア人初の世界オリンピアンズ協会理事などを務めている。

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